カテゴリー「小説(海外文学)」の記事

2023年4月 8日 (土)

惑う星

Photo_20230311170701

主人公の宇宙生物学者のシーオ・バーンは宇宙で生命を探す研究をしている。彼は妻を亡くした後、男手一つで9歳の少年ロビンを育てている。ロビンは優しい少年であるが心の病に苦しんでいる。

ロビンの母親アリッサは生前、動物の権利を保護する為のNGOで働いていた。そんな母の影響もあり、ロビンは自然保護に強い関心を持つ少年だった。シーオは息子の治療としてfMRI(機能的磁気共鳴映像診断装置)を用いた実験的な神経フィードバック治療を受けさせることにした。

それは、生前のアリッサが残した脳のスキャンデータを元に、母の感情をロビンに追体験させ、彼の精神を解放しようというものだった。

その治療の効果は目覚ましいものだったが・・・。

この小説の舞台となっているのはトランプ大統領をモデルにしたような専制的な大統領によって分断され、機能不全に陥ったアメリカ合衆国であり、そこでは地球環境は危機的状況にあるのだった。

そんな中で苦しむ親子の物語である。

また、物語の途中に本筋とは関係なく父子が架空の太陽系外惑星を訪れ、そこに生きる生命を目撃するセクションが挟まっており、SF的な雰囲気を醸し出している。

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
にほんブログ村

2022年12月24日 (土)

宇宙のランデヴー4

4_20221126170701

「宇宙のランデヴー」の完結編「宇宙のランデヴー4」の上巻です。文庫本ではなくハードカバーの本ですが、上下2巻に分かれているようです。

前巻で処刑が宣告されたニコルですが、本巻はリチャードがニコル救出の作戦を実行するところから始まります。

無事救出されたニコルはリチャードと共に新しい生活が始まります。しばらくはニューヨークと呼ばれるエリアで暮らしていましたが、彼らは次第にこのラーマ内で暮らすクモダコの社会に入り込んでいきます。

クモダコも人類と同じようにラーマの中でコロニーを形成し、未知の高度な知性を持つ異星人により監視されているらしいことがわかります。

謎に満ちたクモダコ社会の様子が明らかになっていきますが、クモダコは人類の味方なのかあるいは敵なのか、判然としません。

さらに、このラーマを作った未知の異星人とはどんな生物なのか下巻への期待が高まります。

Photo_20221202094201

さて、下巻では、ラーマ内の人類の独裁者ナカムラが始めた人類対クモダコの戦争、そして到着した中核点で待ち受ける思いがけないクライマックスへと物語は進んでいきます。

この「宇宙のランデヴー」シリーズの4部作は同じくアーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」「2010年宇宙の旅」「2061年宇宙の旅」「3001年終局への旅」の4部作に劣らない壮大なスケールの物語だと思います。

皆さんも是非この壮大な宇宙叙事詩を楽しんでください。

 

2022年12月17日 (土)

宇宙のランデヴー3

Photo_20221120094101

アーサー・C・クラーク(とジェントリー・リーの共作)のSF作品「宇宙のランデヴー」シリーズの第3作です。

西暦2130年に太陽系外から飛来したと思われる巨大な謎の飛行物体はラーマと名付けられた。人類は調査隊を送るがラーマは謎を残したまま太陽系を去っていった。

それから70年後、第2のラーマが太陽系に現れた。人類は再び調査隊を送るが、またラーマの謎を究明できぬまま地球に帰還した。だが、ラーマの中には調査隊員3人が取り残されていた・・・。

というのが「宇宙のランデヴー2」迄のストーリーでした。

そして、この「宇宙のランデヴー3」では3人の調査値員を載せたラーマは何度かの速度制御の後、恒星シリウス近くの異星人が中核点とよぶ場所に到着した。そして・・・・。

気に入らないのはラーマの中で他種族への侵略戦争を始める独裁者がナカムラという日本人という設定です。太平洋戦争中を生きた米国人の日本人観とはこういうイメージなのでしょうか。

この第3作目では今までの流れとはすこし異なった展開となり、すこし戸惑いを感じました。起承転結の転ということでしょうか。

こうなると結となる第4作の「宇宙のランデヴー4」を早く読みたくなりますね。

 

2022年12月 3日 (土)

宇宙のランデヴー2

Photo_20221101173301

この本(文庫本2冊)は、以前(かなり前)紹介したアーサー・C・クラーク作のSF小説「宇宙のランデヴー」の続編となります。

「宇宙のランデヴー」では、

西暦2130年代、太陽系外から巨大な物体が飛来しラーマと命名された。ラーマは直径20キロ、長さ50キロの円筒形で空洞の金属物体であることがわかった。その軌道とスピードからラーマは太陽を旋回し、再び外宇宙に飛び去って行くことが分かった。太陽系調査局の宇宙船エンデヴァー号がラーマに着陸し、エンデヴァーの乗員がラーマの内部に侵入に成功したのでした・・・。そして、ラーマは多くの謎を残したまま太陽系から去っていったのでした。

「宇宙のランデヴー2」は、それから70年後、第2のラーマが太陽系に姿を現したのです。人類はラーマの謎を解き明かすために再び調査隊を組織し、2機の宇宙船によって再びラーマとのランデヴーを果たしたのです。そしてラーマの内部への侵入に成功したものの、この新しいラーマの内部では前回以上の恐るべき脅威が待ち受けていた・・・・。

まだ「宇宙のランデヴー」を読んでいない方は、まずそちらを読んでから、この「宇宙のランデヴー2」読むことをお勧めします。なお、文庫本のほかに単行本もあるようですが、いずれも新刊本はないかもしれません。私が読んだのは中古本でした。

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
にほんブログ村

2022年10月22日 (土)

ネヴァー・ゲーム

Photo_20220921091401 

主人公・コルター・ショウの職業は懸賞金ハンター。

懸賞金ハンターとは賞金稼ぎのようなものだが少し意味合いが広いという。逃亡した被疑者のみならず迷子の子供や認知症のおじいちゃんを探したりする。報酬は行方不明者の家族が出す懸賞金とのこと。

ショウはキャンピングカーでアメリカ中を旅しながら懸賞金ハンターを続けているという設定。

ショウは「サバイバリスト」だった父親からサバイバルの奥義を学び、何があっても独力で生き延びるための術を叩き込まれた。それが懸賞金ハンターの仕事にも大いに役立っている。

本作では舞台はカルフォルニア州のシリコンバレーあたり。

行方不明の19歳の女子学生ソフィーの捜索を請け負い、それが連続事件の発端となる。

彼女の失踪はある配信ゲームに関連していることが判明するのだが・・・・。

ショウは、次々と襲い掛かる危機を突破していくのだがなかなか真相には近づけない・・・。

この作品はシリーズ化され、その第1作のようです。

2022年10月 1日 (土)

テスカトリポカ

Photo_20220908214601

「テスカトリポカ」という題名、これはメキシコの古代文明アステカの神の名前だという。 アステカ文明はスペイン人の侵略により滅んだ。

バルミロは古代アステカの神テスカトリポカの呪術師だった祖母の影響下で育ちテスカトポリカの宗教儀式を学んだ。

そんなバルミロは麻薬密売人をしていたが麻薬マフィアの抗争に巻き込まれ家族を殺され自身も追われる身となった。

バルミロは巧みに逃げ、コンテナ船に紛れ込んで密航しインドネシアのジャカルタにたどり着く。そこで、裏社会に生きる男達と知り合い、麻薬密売に代わる新たな裏ビジネスに関わることになる。そして舞台は日本に移っていく・・・。

物語は裏ビジネスに関わることになる者たちの過去が詳しく語られており、かなり長い読み応えのある小説となっている。

普通の人が絶対に体験しないだろうと思われる世界が描かれており興味深く読める小説だと思う。

しかし、随所に残虐な内容を含んでいるので気の弱い人にはお勧めしません。

本作品は直木賞受賞作です。

2022年9月 3日 (土)

日の名残り

Photo_20220730092801

かつてイギリスの政界の名士であったダーリントン卿に仕えた執事・スティーブンスが主人公で、物語は彼の語りによって進行する。

スティーブンスは自他ともに有能な執事として許していた。

ダーリントン卿が亡くなり、現在は館を買い取ったアメリカ人の富豪に仕えている。

そして、彼は休暇をもらい主人のフォードを借りて旅に出たのだった。

物語は彼が旅の途中で出会う風景と人々との出会いを描きながら、彼がかつてダーリントン卿に仕えていた頃の思い出が語られていく。

その中では女中頭だったミス・ケントンとの思い出も語られる。 実は、この旅の最後にはミス・ケントン(今は結婚してミセス・ベン)との再会が計画されていた。

彼はこの旅を通して彼の執事としての人生を顧みるのだったが・・・・。

思い出で語られるのは第二次世界大戦前の時代で、当時の英国の外交事情など興味深いところです。

さすが、ノーベル賞受賞作家カズオ・イシグロの作品、読みごたえがありました。

2022年7月16日 (土)

教皇のスパイ

Photo_20220615083801

イスラエルの諜報機関の長官のガブリエルが主人公の小説です。

ローマ教皇が心臓発作により逝去した。数日後ガブリエルは教皇の個人秘書に極秘裏に呼び出された。

当日の警備担当者が失踪し、教皇が旧友ガブリエルに宛てた手紙が持ち去られたというのだ。

そして教皇の死の前後には不自然な状況があり、教皇暗殺の疑いもあるという。

ガブリエルは真相を求めて行動を起こすのだった・・・。

物語はバチカンの秘密文書を巡る陰謀が隠されているのですが、そこには欧米のキリスト教国家に残る反ユダヤ主義の根源となる歴史的問題があることが提起されています。

単なるサスペンス小説という枠を超えて考えさせられる小説でした。

2020年8月 1日 (土)

アンドロメダ病原体ー変異ー

Andromeda-1280x901

2019年5月に発売されたこの本「アンドロメダ病原体ー変異ー」は50年前に書かれたSF小説「アンドロメダ病原体」の続編のようである。

アマゾンの赤道直下の密林に突如現れた謎の構造物、それは50年前に起きた「アンドロメダ病原体」による出来事と関連するとおもわれ、人類に危険をもたらすものだと思われた。

そこで、様々な分野の科学者たちと護衛隊からなるメンバーが集められアマゾンの奥地に向かったのだった。また、軌道上の国際宇宙ステーションの女性宇宙飛行士も宇宙から彼らをサポートしていた。

そして、荒唐無稽と思われるスケールの大きなアクション・ストーリーが展開されていくのだった。

ちょうど今、世界は新型コロナ・ウイルスによるパンデミックが起こっている。そんなタイミングで発行されたこのSFを堪能しました。

 

 

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 

 

2019年4月 3日 (水)

大統領失踪

Photo昨年(2018年)に刊行されたこの本は米国でベストセラーとなったそうである。

というのもこの本の著者の一人は第42代アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンなのである。

物語は迫力満点のポリティカル・スリラー小説となっている。

国防総省のサーバーが謎のウイルスの攻撃を受ける事件が起き、大規模なサイバーテロの危機が迫る。

この事態に主人公のジョンサン・リンカーン・ダンカン大統領は姿を隠してアメリカ全土を機能不全に陥らせるサイバーテロに立ち向かうのである。

普段我々が知ることができないホワイトハウスの内側がふんだんに描かれており、それだけでも面白い。 

 

 

 

続きを読む "大統領失踪" »