蒼穹の昴
物語は西暦1886年、梁家屯の貧しき寡婦の倅、李春雲は占星術師、白太太から、李春雲は遠からず紫禁城にて帝のお側近くに仕えることになる、と告げられた。
そして、いずれ西太后の財宝をことごとくその手中に絡めとるであろう、と占ったのである。
李春雲は常に天宮をしろしめす胡の星、昴とともにあるというのだ。
一方、梁家屯の田畑のすべてを所有する梁大爺の次男、梁文秀は科挙の予備試験を突破し、科挙の本試験となる「順天会試」に臨もうとしていた。
科挙の試験とはどういうものか、私はこの物語を読んで初めて知った、中国歴代の王朝を通じて連綿と続いたこの制度のすさまじさを。
そして、李春雲は宦官となり、梁文秀は科挙の試験に合格し、二人は紫禁城にあいまみえることとなる。
物語には、西太后、光緒帝、袁世凱、康有為など歴史上の人物が登場し、政治状況や、うずまく権謀術数など当時の清国の歴史が生き生きと描かれており、とても面白い。