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2015年10月

2015年10月23日 (金)

フィラデルフィア染色体

Photo副題に「遺伝子の謎、死に至るがん、画期的な治療法発見の物語」とある。 

まさに、その副題の通り、がんの原因である異常染色体の発見から治療薬開発をめぐる製薬会社間の熾烈な争いまでを追ったノンフィクションである。

「フィアデルフィア染色体」とは慢性骨髄性白血病および一部の急性リンパ性白血病に見られる染色体の異常のことである。

フィラデルフィアとは、この遺伝子を発見した研究者が所属する大学の場所にちなんで命名されたとのこと。

内容は遺伝子にかかわることだからかなり難しい。

そして、最初のうちは登場する人の多さに困惑してしまう。

それもそのはず、この物語は1960年頃、のちにフィラデルフィア染色体と呼ばれるようになった染色体異常が発見されてから、2001年に慢性骨髄性白血病(CML)の画期的な治療薬がFDAの承認を受け、その後、次々と新世代治療薬が開発されていく2010年位までの半世紀近くの物語なのである。

その間、世界中の研究者たちが関わり、その成果の上にこの新薬が完成したのである。

まるで大河ドラマの小説を読むようなものである。

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2015年10月16日 (金)

わたしが殺した男

Photo気まぐれで題名だけで小説を選んでみました。 

暴力組織に潜入捜査をしていた警察官が身分が露見し組織のボスに残虐に殺される場面から始まる。 

如何にもハードボイルド系の出だしだが、その後が妙な展開に・・・。

いずれも元警察官の佐藤龍二と佐藤秀之進の二人が新宿にバー「二人のシュガー」を開いた。

同時に、そのバーは二人の元警察官からなる探偵事務所「ダブルシュガー」でもあるという設定。

物語の半分はこのバーの中が舞台となって物語が進んでいく。

複数の現役の警察官や、大家の娘などが出てくるのだが、いずれも元同僚とか大学同期とか非常に狭い世界の中で物語が進んでいく。

当初、題名からの想像とかなり異なる展開にとまどってしまった。

最後には積もり積もった「?」も氷解するのだが小説としては少し期待はずれだったかもしれない。

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2015年10月 9日 (金)

病む女はなぜ村上春樹を読むか

Photo「病む女はなぜ村上春樹を読むか」という題名のこの本、たまたま目に留まったので読んで見た。

村上春樹のことがたくさん書いてあるのかと思っていたが、確かに村上春樹のことも書いてあるが、明治の文豪から外国の有名作家の名前等が次々と出てきて、この著者の嗜好にそってやり玉にあげられる。

私が期待した内容とは少し違っていたようだ。

しかし、理系の私には、こういう文学的な内容には疎いので、「ふんふん」とそれなりに面白く読ませた貰った。

また、村上春樹についても、なるほどと納得することが多かった。

村上春樹がノーベル文学賞候補と言われながら、いまだ受賞できないのは何故かなど、興味を持って読んだ。

私としては、作品が純文学であろうと通俗小説であろうとかまわないが、この本ではそれにこだわっている。

確かに賞を授ける側からすれば大事なことではあろう。

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2015年10月 1日 (木)

下流老人

Photoこの本によれば、「下流老人」とは文字通り、普通に暮らすことができない”下流”の生活を強いられている老人を意味する造語であるという。

 

具体的には、下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義している。

下流老人は、いまや至るところにいる。

日に一度しか食事をとれず、スーパーで見切り品の惣菜だけを持ってレジに並ぶ老人。

生活の苦しさから万引きを犯し、店員や警官に叱責される老人。

医療費が払えない為、病気を治療できず自宅で市販薬を飲んで痛みをごまかす老人。

誰にも看取られることなく、独り静かに死を迎える老人・・・・・。

これらの高齢者の姿は、下流老人のほんの一端である。

この本によれば「日本人の9割は、他人ごとでは済まない」のだそうである。

生活困窮者は異口同音に「まさか自分が・・・」と・・・。

正社員の仕事を辞め、親の介護・・。 病気、事故による高額な医療負担。認知症+1人暮らし+悪徳業者・・・。非正規労働は下流に直結する。

下流老人が増えるのは国の制度上の問題でもあり、早急な対策が必要であるとして制度や政策に対する著者からの提言が書かれている。

同時に、下流老人にならないために個人レベルでできる事、備えておくことなども書かれている。

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