家族という病
元NHKのアナウンサーであった下重暁子さんの書かれた本です。
かつて私が小学生であった頃、我が家にテレビが来た時、NHKのニュースを読んでいたのが下重アナウンサーでした。
とにかく、すごい美人アナウンサーだったと記憶しています。
この本によればNHKを退社後、民放のキャスターを経て文筆活動に入られ、エッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる活動をされてきたようです。
日本軍将校の父と越後の地主の生まれの母の元に生まれ育ち、終戦後、父親は戦犯として公職追放となり絵の道を志した。
下重さんはそんな父親や母親との確執から両親とかなり距離をおいて生きてこられたようです。
それでも彼女は早稲田大学を卒業しNHKに入局し、女性トップアナウンサーとして活躍されました。
そんな下重さんがどのような考えを持ち、どのような人生を歩んでこられたかがよくわかりました。
そして、下重さんが育った微妙に複雑な家庭環境により、少し普通でない家族観を持つに至ったようです。
「家族ほどしんどいものはない」、「家族のことしか話題の無い人はつまらない」、「家族写真入りの年賀状は幸せの押し売り」、「炬燵に入ってみかんを食べながら紅白歌合戦を見るという構図を想像するとゾッとする」等、家族というものに対してかなりいびつな偏見を持っておられることがわかります。
「日本人の多くが「一家団欒」という言葉にあこがれ、そうあらねばならないという呪縛にとらわれている」と言い切る下重さんの家族観はかなり偏見していると思えます。
世の中にいくらかは存在するこのような人達がどのように育ってきたのか少しわかった気がしました。
田舎で育った私はテレビで見た下重アナウンサーの美しさに憧れたものでした。
しかし、その憧れの下重さんがこのように家族のすばらしさを感じられない人生を歩まれてきたことを知るに至り複雑な気持ちになりました。
もちろん、彼女のような人生もあることは理解しなければならないことを教えてくれる一冊の本でもありました。
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