消された一家
書 名:消された一家
著 者:豊田正義
発行所:新潮社
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この本は北九州で起きた連続監禁殺人事件を書いた犯罪ノンフィクションである。
この事件では7人もの人間が次々に殺されていった。
1人の少女が警察に保護され、初めてこの事件が発覚した。
主犯の男の名前は松永太、妻の名は緒方純子で、二人は福岡県久留米市の高校の同窓生だった。
卒業後に交際を始めて内縁の夫婦となり、詐欺事件を起こして指名手配となった。
逃亡中の二人は、北九州の小倉で、いくつものマンションを転々としていた。
そしてそのうちの一つで、「遺体なき密室での監禁大量殺人」が行われたのである。
平成14年3月、最初に殺害された男性の娘が警察に保護されたことで事件が発覚し、松永と緒方は逮捕・起訴された。
そして、驚くべき残忍で猟奇的なこの犯罪が明らかになったのである。
その男、松永太はマンションの一室に男性とその娘を監禁し、多額の金を巻き上げると同時にさまざまな虐待を加え、挙句の果てに、男性を衰弱死に至らしめた。
その後、内縁の妻とその家族を同じ部屋に監禁し、やはりさまざまな制限を加え、奴隷のように扱った。
松永は、家族を巧妙に操り、家族はまったく抵抗も逃亡もせずに、一家はその指示に従い、1人また一人と殺し合い、遺体はバラバラに解体された。
松永は、いずれの殺人においても自ら手を汚すことなく、巧みな話術により家族が家族を殺すように仕向けることでこの犯罪を遂行していった。
ついに、松永の妻、緒方純子を残して一家は全滅した。妻は男からの指示を受け、自らも過酷な虐待を受けながら、この凶悪な犯罪に手を染めていった。
この松永と言う男はいったいどんな人間だったのか。
松永は昭和36年北九州市小倉北区において畳屋を営む両親の長男として生まれた。
中学校時代は大して勉強もしないのに、全学年を通してほとんどの科目がオール5で、学級委員長を何度も務め、生徒会の役員にも就いたことがあるという。
しかし、担任の教師たちの印象は決していいものではなかったらしい。
高校時代には「不純異性交遊」が発覚し、転校したこともあるという。
そして松永はこの鬼畜の行いに思えるこのおぞましい犯罪へと突き進んでいくのだった・・・・・。
このようなドキュメンタリを読むたびに、世の中にはほんのわずかだが、このような空恐ろしい犯罪を犯す鬼畜のような人間が存在することに驚きを覚えずにはいられない。
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