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2012年6月16日 (土)

消された王権・物部氏の謎

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書名:消された王権・物部氏の謎
著者:関 裕二
発行所:PHP文庫
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「日本書紀」が認めるように、物部氏は天皇家が登場する以前のヤマトの大王家であった。そしてヤマト朝廷成立後、八世紀初頭に至るまで、物部氏が重大な発言権を持ち続けたように、天皇家と物部氏という2つの王族はあいまいな形で共存の道を選んでいた。

ところが、物部氏の衰退後、彼らは鬼のレッテルを貼られ、かってのヤマトの大王家は、八世紀、歴史の敗者として、神、天皇の対極の存在に朽ち果てたのであった。・・・・・

鬼となった物部氏は、ここからもう一つの日本=裏社会をつくることで、朝廷と対等に渡り合おうとしてゆくのである。・・・・。

そして、ヤマトの先住民は”出雲”であったと推理する。すなわち、出雲と物部は異名同体であったと言う。ヤマト周辺には出雲系の神を祀る神社が多数あること、そして、皇祖神で女神の天照大神を祭る伊勢神宮も、その御柱の隠された正体は大物主神だという。

そして、ヤマト朝廷成立=神武東征は、天皇家の一方的な侵略ではなく、むしろ、”出雲・物部”によるお膳立てがあったことで成功したという構図になる。
さらに、天皇家を支えたもうひとつの豪族、蘇我氏もスサノオと接点を持ち、物部氏とは同族であったとする。

藤原の不比等が編纂に携わった「日本書紀」が天武天皇の正当性を訴えるために記されたのではなく、藤原氏や天智系王朝にとって都合のよいように歴史が改ざんされたもので、天皇家を支えた物部氏や蘇我氏の出自を隠し、ヤマトから出雲の影を抹殺したものであるとしている。

たくさんの歴史書の解釈と推理により説きあかされていく、「消された王権、物部氏の謎」は実に読んで面白い読み物であった。

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